原田敬子の「ブック I」を、マルゲリータ・ベルランダの演奏で。Accord独奏で、細かな襞が忙しく揺れたり声が出たり精妙な和音だったりと多彩な4曲。朴泳姫(パクパーン・ヨンギー)「わたしの心」は深いところからゆっくりにじみ出てぐっと持ち上がる。ニコラウス・A・フーバー「竪琴の歌」は最高音の響きから下降しつつ引掻きのリズムも。サミール・オデー=タミミ「影」はキアロスクーロ木版画のように。ロベルト・ヴェトラーノ「アクスティカ III」は“ゴーストサウンド”と呼ぶ電子音と対話というか共鳴する。マニュエーラ・ケレール「奥深くに…」は声や息音さらに登山用ロープを持ち出しての劇場空間作品。Stradivarius STR37262 #nml
masaka
says 21 hours ago @Edit 21 hours ago
ベリオの「フォーク・ソング」を、イグナツィ・ザレフスキ+アレクサンドラ・ワスカ+ショパン大学モダン・アンサンブルの演奏で。イタリアをはじめアルメニア、フランスなどの民謡(旋法が雅)に繊細な(時々微分音が混じるような)彩りを施した11曲。ジャネタ・リジェフスカの「吐き捨てろ」はFl+Cl+Vn+Va+Vcがグリッサンドでくねくね動きながら倍音奏法や特殊奏法で奇妙な織物を作る。クシシュトフ・キツィオル「崩壊」は打楽器協奏曲的に繰り出される音響でちょっと安っぽい。マルツィン・ヤヒム「マアトの羽根」も派手な打の隙間から祭儀的な音が覗く。パヴェウ・ウカシェフスキ「ディヴェルティメント」は大振りでホモフォニックな3章。U. Muz. F. Chopina 5906671058362 #nml
ジェフ・マイヤーズの「ドーパミン」を、ジャック四重奏団の演奏で。スコラダトゥーラの自然倍音を用いた不思議な微分音和声をごしごしと刻みながら日が昇り陰って少し寂しい風が吹くような。「レクイエム・エテルナム」はMSのレイチェル・キャロウェイを加え、オスカー・ワイルドやフリーダ・シャンツのテキストも用いながら透徹した敬虔さの中にゆがんだ微分音を織り交ぜて嘆きと涙を表現する。強い。Innova INNOVA035 #nml
バスティアン・ダヴィドの「階段の視点」を、ヴァンサン・ガイイの演奏で。Accord独奏で音のストップを精密にコントロールして陰画のように旋律を描く。「煙のトッカータ」はAccord四重奏で音が滲むようにして波打ち深く沈んでいく。Acrdに加えて「クロレ」は2打で下敷きで遊ぶような懐かしい音もあり寄せては返す、「楽観」はVa+コルネットでワウワウミュートと大げさなビブラート、「虫たち」はSop+Flでそれぞれユニゾンの遊び。「本能」はCl+Fg+Cb+Pf+打を加え苦しげに発される音を光の泡が包む。さらに「インクの雲」はFl+Cl+Fg+Sax+Va+Vc+Cb+Hp+Pf+打で電子音響かと思うような響きとプリミティブな素朴さ。Initiale INL21D #nml
ヨン・フォッセ/伊達朱実訳「朝と夕」を読んだ。句点がなくフレーズが反復される詩のようなゆれる波のような文体で語られるあちらに行く境の思い出の世界。海と空と舟と風の中に現れる大切な人々や懐かしいものごとが切なくもほんのり明るい。あたたかな読後
ピエール・ブーレーズの「アンテーム」を、河村絢音の演奏で。蝶が舞い蜂が刺すようなVn独奏、IIは電子楽器とのデュオで響きの広がりや句読点が加わりながらの丁々発止。マティアス・ピンチャー「ヴェールについての考察への習作第3番」は高音域の動きの合間に人の息などを模す多用な音の技巧。ブルーノ・マントヴァーニ「ハッピー・アワーズ」はトレモロにこだわりつつ半音階の駆け足から四分音を含む重音。電子楽器を伴ってルイス・ナオン「6つのカプリース」は動と静の1番、2番を、佐原洸「デュオ」は音の重なりが滲みながら広がってノイズや宇宙空間のように。演奏お見事。B→C行くべきだった。Initiale INL22D #nml
masaka
says 2 days ago @Edit 2 days ago
諸事情で元日に東京に戻るというちょっと異例の新年。とりあえず穏やかな日でよかった
近年は紅白を特に毛嫌いもせず、といって特に真面目に見るわけでもなく、離れたテーブルで他のことをしながら聞くともなく聞いている感じ。若手で元気よくけっこういいなと思うのもあれば、小手先で繕いながら嘘っぽいのもある(多い)。まぁそんなのよりメジャーSNSでの反応見ているのが面白い
ジョン・ケージの「危険な夜」を、ベルトラン・シャマユの演奏で。さまざまな音色のプリペアド・ピアノ。ほかに「得体の知れない冒険」「の得られない記憶」「プリミティブ」「ピンボケの源」「孤島の娘たち」「季節外れのバレンタイン」「かくて大地は再び実を結ばん」「ホロコーストの名の下に」など。Erato 5021732253491 #nml
masaka
says 5 days ago @Edit 5 days ago
尾崎まゆみ「レダの靴を履いて」を読んだ。塚本邦雄歌集が届く前に何かないかと図書館で探して借りた本で、「塚本邦雄の歌と歩く」というサブタイトルの通り、50首ほどを選んで一つずつ鑑賞していく。難解で句跨りや字余り満載の前衛歌だが、こうやって愛情を込めて紐解かれると、魅力が何層にも広がって染み込んでくる。歌集にいきなり取り組んだら立ち往生していたかもしれず、よい出会いであった