【地下鉄】『日常』
買い出しの袋を左手に持ち直し、業務スーパーから出て、段々染みで来る寒さのあんまり身をコートに縮む。

【地下鉄】『戦闘』
カチャン！と、金属のぶつかり合うが車内で広がる、かわす動きが一秒でも遅かったら体を刺し抜く槍は容赦なく攻め続ける。
今日の相手は強い、しかも前自分に負けたやつだった。
きっとこっちをぶちのめすチャンスを狙うのに違いない。

【地下鉄】『日常』
「今日も寒いやな～」
仕事を終え、寒くなる冬の道に歩く、うす暗い曇り空を見上げて、彩語は目を細めた。
話す度口から出る白い煙が瞬く空気に溶けていた---いや、冷たい空間に飲み込まれたかもしれない。
「ぶ。」
ふっと、笑い出す。
「早く地下鉄に行こう！」
自分らしくない考えを投げ出し、ブーツが地面を叩き音が黄昏の道で響いた。