「俺がアンタのこと好きになってから何年経ってるか分かります? 九年ですよ、ねえ、自分の人生の半分以上アンタに片思いしてるんです。はっきり言って人生の無駄遣いだと思うんですよ。だから、……だからさっさと振ってください」
やっと振り出しに戻れた気がして、恵はそっと息を吐いて五条を見つめた。視線の先で恵の片腕から手を放した五条の手がサングラスを下にずらした。露わになったきらきらと輝く蒼に、恵は一瞬圧倒されてしまう。朝日に照らされた雪原、夜の湖面に映った月光、天気雨の後に掛かる虹、磨き抜かれたダイヤモンド。この世に存在する美しい輝きを全部集めて凝縮したような美しいそれ、なのに。
「え~、もしかして恵、僕が初恋なの? マジで? ウケるね」
好撚可愛