lqd100
3 years ago
latest #9
lqd100
3 years ago
「周りからもよくハマり役って言われるんですけど、なんでなのかわからない……。僕とは全然違う人間なんですけどね」。稲垣吾郎はそう苦笑しつつ、しかし、自身にとってこの役が、俳優キャリアにおいて特別なものであることを否定しない。
lqd100
3 years ago
「稲垣吾郎のいろんな要素が詰まった役だなと思いますね。二十歳の頃につかこうへいさんの原作の芝居(『広島に原爆を落とす日』)をやらせてもらって、一方でラッパ屋の鈴木聡さんの作品ではコメディ色の強い役もやってきました。30歳くらいからは“狂気”の部分――激昂したり、エキセントリックで得体のしれないところのある役をやるようにもなって、三池(崇史)監督の『十三人の刺客』だったり、ヒールやクセの多い役も増えてきました。アイドルグループにいる自分が王道のヒーローじゃなく、そういう役をやるってすごく面白い挑戦でしたけど、40歳を過ぎて自分がやってきたことの集大成、ひとつのまとめとなったのがこのベートーヴェンだと思います」
lqd100
3 years ago
2015年の初演、2018年の再演に続く再々演となるが「表現することは同じ」と変化を自らは意識しない。それでもおのずと「お客さんの目に映るもの、感じるものは確実に違うものになるはず」という確信がある。“座長”という立場へのスタンスも「(意識することは)全くない。全く座長っぽくないです(笑)」と変わらないし、カンパニーへの信頼も揺らぐことはない。
立即下載
lqd100
3 years ago
「僕、意外と人見知りで、ダメなんですよ。恥ずかしくなっちゃう(苦笑)。ベタベタした関係も好きじゃないし、芸能人としてもずっとそういう感じでやってきてる。僕はこの作品では中心で暴れている“ゴジラ”ですからね。周りの方が大変だと思います。そうやって中心で暴れるということもこれまでやってきてなくて、どちらかというと『まあまあ』となだめるタイプなので、それが新鮮でもあります。ピアノの末永匡さんの存在もすごく大きいですね。一緒にベートーヴェンを演じているようなイメージです。この作品は、みんなでベートーヴェンの頭の中の出来事を演じているようなところがあるんです。お客さんの目に映る形で存在しているのは僕だけど、みんなでベートーヴェンという船を漕いでいるような感じがします」。
lqd100
3 years ago
「いろいろ悩ましいですよね。40代って体力の衰えや精神的な部分でも変化を感じる時期。人生の折り返しを迎えて今後、どう生きていくのかを考える重要な時期だと思います。僕自身、グループが解散して環境が変わったりもしたのでなおさら(変化や重要性を) 感じますけど、自分の選択によって新たな道を進んでいるしすごく恵まれた道を歩めているなと思います。もちろん、20代の頃に思い描いていた通りのこともあれば違う部分もあるし、でも当時から思い描いてる通りの未来になるなんてことはないと思っていたし、そうなることが幸せとも思ってない。未来は予測がつかないし、変わっていくのは当然なので、そこに動揺はなかったです。
lqd100
3 years ago
でもトータルで見ると、好きな仕事ができて健康で、周りに恵まれて愛し愛されて生きているという意味で、幸せで思い描いた通りなのかなと思いますね」
lqd100
3 years ago
《インタビュー》木下グループpresents「No.9ー不滅の旋律ー」演出:白井晃 (再UP) ――主演の稲垣さんの印象は?
白井:極めて冷静な人だと思います。普段も紳士でおだやかですし。ご自分でもおっしゃっていたんです、「僕になんでベートーヴェン役を?僕は怒ったりものを投げつけたりする人ではないのに」って、笑って。だからこそ稲垣さんが外に出さない激情のようなものを作品を通してだけ出してくれればと思っていたんです。表面よりも内に秘めたるものがたくさんあって、こういうシチュエーションが与えられると、ご自分とはちょっとかけ離れたエネルギーがドーンと出るだろうなと、そういう魅力がある方だなと。
lqd100
3 years ago
いろんな役者さんがいますけれどね。普段からエネルギーがいっぱいで、一緒にいると暑苦しいくらいの人とか(笑)。稲垣さんはまったく正反対で、普段は物静かで舞台に上がると爆発するような。「こんな中身を持っていたのか」と驚きがあるし、掘れば掘るほど多彩なキャラクターが見つかる魅力的な鉱脈を持っていますよね。非日常的な自分と出会って、フィクションの中を自由かつ大胆に生きられるような気がしますね。僕は、恥じらいを持つ俳優さんの演技は信じられるんです。初演の時だったんですが、稽古場では初めは物静かで淡々とされてたのに、本番初日ではこちらが驚くような豹変ぶりでした。すでに初演再演と経験させていただいているので共有できている部分は多いですけど、今回はさらにもっと深くアプローチしていきましょうとお話ししているんです。
lqd100
3 years ago
「この表現をちょっと変えたらどうか」と細かな調整をしている段階です。外からみたら大して違わないかもしれないけど、小さなことの積み重ねで内面に大きな変化があるんじゃないかな、と思っています。
back to top