masaka says
鷲巣力「加藤周一を読む」を読んだ。自選集にほぼ沿う形の10章で、出発点から主要作に至る道程、そこでの論点、そして外部との関連付けを踏まえた日本/日本人の考察までを、豊富な引用によって実に明晰にかつ深い彫琢でたどる。少し例を挙げるだけでも象徴主義と定家、文学としての世阿弥、鴎外から茂吉、ボードレールにサルトルと、更に深く読みたくなるテーマが目白押し。そして小説や詩も創作しそれが理詰めの文をさらに豊かにしているという。いよいよ加藤周一に本格的に取り組むか