masaka says
千葉雅也「センスの哲学」を読んだ。美学というか芸術論というか、意味を見出そうとせずあるがままの形にリズムを感じ取ること、そのリズムは反復と差異/享楽、あるいは安定と飛躍、あるいは対立と距離などいろんな言い方でセンスがある、芸術であるということを噛み砕く。蓮實重彦がやたら難渋に煙に巻いたことをうんと分かりやすくして射程を広げたという感じ。映画や料理を持ち出しての比喩、話の緩急、秘技っぽいものの解体と裏付けに取り上げる理論のほどよさなど、たいそう上手く計算されていて、こんなにすんなり進んでよいのかと逆に疑いを持つほど。まぁしかし「アンチセンスという陰影を帯びてこそ、真にセンスとなる」というのは、尾竹竹坡の面白さと物足りなさを的確に言い表すようでもあり。親切な読書ガイドも参考にするとしよう