masaka says
村上春樹「街とその不確かな壁」を読んだ。村上作品を読むのはほぼ40年ぶり。ワンダーランドで自分にとっての一つの世界が完結したというか春が終わったような気がして、それをそのまま残しておきたかったような気がする。初期中編を書き直したというだけあって第1部はなんとも懐かしい世界、第2部では川添愛の白と黒のとびらを思い出していた。濃密な深さではなく、小さな変化が水面で組み合わさっていく(川底では複雑な渦を巻きながらも)せせらぎのような息遣いは、かつて深く親しんだものだったはず。空白期の作品も、手にとってみるかもしれない